2016年6月30日木曜日

英国EU離脱(3)・新興国と貿易創造の変化

世界的な所得格差や若者の失業問題はグローバル化、自由貿易と密接に関係しているという主張がある。

この貿易の拡大って!?
従来の日本の輸出産業がどのように変わったのか?考えてみましょう。


(下図の出所)前野高章(2012)「日本の貿易構造の多角化と東アジアの中間財供給」『国際経済の論点』所収、文眞堂
 この図が非常に良くできている。

 日本は、2002年から2006年の期間においては,中間財輸出を拡大させていることがわかる。
輸出全体の中間財輸出の増分が最終資本財のそれを上回っていると同時に、資本財の輸出シェアも拡大しているのである。
この時期、日本が円高によって、中間財と同時に通貨高回避のために資本財移転へ力点を置いていっている。

 外国企業が購入する資本財は、一般消費財とは異なり、価格よりも品質が重視され、一度日本製を採用すると取引上、簡単には購入先を変更できないからである。

 円高によって日本製品が価格面で不利になり、一般消費財は国際市場においては安い製品に流れる可能性もあるが、資本財の場合はそれを回避することができる。これは、2000年以降の資源高騰によって資本財購入側は、仕入先をすぐに変更できないため、高付加価値財に限っては代替製品がなく大きな利益を産出する構造へとなっていった背景に起因している。

 以上のことより, 1990年代の構造転換によって2002年から2006年にかけて日本は新規貿易変化率と既存貿易変化率の両方の貿易を拡大させたことが分かる。

 この期間において、新規に取引する財や新規参入する相手国を増加させることにより貿易可能な財の幅を拡大させ、加えて、貿易額が増加していることから、輸出財の高付加価値化がなされていることも読み取れる。
 1996年以降の我が国の貿易が、投資財投下→産業内貿易開始→貿易が増加→新しく国際取引される財の貿易が増加(企業数、取引品目数、国、地域など)→輸出財の高付加価値化、という展開ですすめられていることが判明できるのである。

 ①日本企業は、通貨変動を回避するために、消費財輸出から資本財輸出が主流になった。そして、②特定の国ではなく、世界中さまざまなな国との取引が拡大した。

それを推奨させるために、貿易の障壁をできるだけなくし(現在進行形)、ルールの緩和化、人間が地域間を移動でき、そこで新しい雇用や技術が誕生した。