2016年7月11日月曜日

第2の開国近づく、東京一極集中から地方の時代へ

 TPPが「第2の開国」とも言われているのは、それは単に貿易が拡大するというわけではなく、近代国家のシステムが終焉し、経済的な結びつきを重視した国家連合体という新しい産業通商構造が形成される可能性があるからです。
 
 では、最初の開国(開港:1859年)はどのようなことが起きたのか見てみましょう。

上図:斉藤修(1975)『大阪卸売物価指数1757―1915年』 (『三田学会雑誌』六八巻10号所収)より

 江戸幕府の金融政策として貨幣の改鋳・吹き直しは何度か実施されましたが、開港とともに実施された万延小判の発行は従来に比べてあまりに小型化してしまい、それにより急激なインフレを起こす結果になりました。(この万延小判は国際貿易上、交換しやすいものであり、やがて明治政府の1円へと移行していきます)

 この開港によって、それまで経済の中心であった大阪の一極集中が薄らぐことになります。
 それは、米の経済から貨幣経済への流れの始まりであり、各藩は財政再建のために、外国と貿易として米以外の特産物の生産に力点を置いたので、大阪を経由しない取引が拡大することになりました。

 また、各藩、特産物生産を活性化させるために士農工商などの身分差を超えて、全員参加の取組が行われ、近代化は地方から巻き起こっていったのです(現金収入として稼ぐ力を形成)。

開国時の政策
○金融政策
○経済の中心地の分散
○異業種全員参加型の地域産業の確立

「あれ?」と思った人も多いでしょう。今と同じじゃないか!って。こうして歴史を紐解くと、同じような現象が見られるのです。

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 現在、日本は東京一極集中型ですが、近い将来、経済的な結びつきによる国家連合体が到来することを考えると、今のままの構造ではなくなっていくでしょう。それは、東京を経由しない地方都市と海外との直接的な結びつきです。

 
上図:経済産業省『通商白書』2016年より
 
 現段階で、自治体ごとの輸出比率を見ると、日本で最も高い広島県が、ドイツで最も低いテューリンゲン州よりも小さいことが指摘されています(日独比較)。

 ※広島県海外ビジネス課

 日本の地域でのネットワーク力、特産物の品質など海外でも十分に通用します。ただし、今はその潜在的な能力が十分に発揮されていない状況でもあります。